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■2009年1月 電池開発の状況 |
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電気自動車普及のカギを握るのは電池の性能である。
2009年1月現在の電気自動車用電池開発の状況を調べてみた。
実用性で最も進んでいるのがリチウムイオン電池で、三洋電機が国内はもちろん世界でもトップシェアであり、パナソニックと合わせると世界の44%を占める。
リチウムイオン電池の材料は、負極にカーボン、正極にコバルト酸リチウム(LiCoO2)を使うのが一般的だが、別の材料を使うことでさらに高容量化を図る研究が盛んに行われている。
三洋電機では負極にカーボンに替えてスズ(Sn)やシリコン(Si)のような“IVa族元素”を使ったリチウムイオン電池を開発した。
負極材料にスズ(Sn)やシリコン(Si)のような“IVa族元素”を使えば容量が大きくなるというのは、これまでの研究で理論的に分かっていた。しかしSnやSiは、充電によって3〜4倍も膨張するため活物質が割れて脱落し、蓄電能力が落ちてしまうため、リチウムイオン電池の材料には不向きといわれていた。
この欠点を独自の技術で解決し従来型リチウムイオン電池に比べて、50〜60%のエネルギー密度向上がはかれる技術を開発した。
東芝は負極に、独自に開発したチタン酸リチウム(LTO)を主要材料とすることで、完全に押し潰しても温度上昇が緩やかで、破裂したり、発火したりはしない安全な新型リチウムイオン電池SCiBを2008年3月から量産を始めた。
SCiBは5分で充電ができ、3000回の充放電後でも容量の低下は10%だった。
(従来品は500〜1000回で30%の容量低下)
重量エネルギー密度は67Wh/kg、重量パワー密度は2600W/kg。電圧は2.4V。
2008年8月、独立行政法人 産業技術総合研究所 エネルギー技術研究部門
エネルギー界面技術研究グループは、リチウム・イオン電池用正極材料として有望なカーボン膜を被覆したオリビン構造LiFePO4(リン酸鉄リチウム)のnmオーダの超微粒子の合成に成功した、と発表した。LiFePO4は安価なため電気自動車用大型リチウム・イオン電池の正極材料として注目されているが、高出力に必要なハイレートの充・放電により容量が急激に下がるといった問題点があった。同研究では直径を20〜40nmに制御したオリビン構造LiFePO4の超微粒子を作製し、黒鉛類似のカーボン層(セミグラファイト膜)で覆うことで問題点を改善した。
100%の充・放電深度で1100回の充放電サイクルを繰り返しても、容量は初期容量を維持された。
エネルギー密度は150Wh/kgと推定。
電池の性能比較 |
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| 電池の種類 |
電圧 |
重量エネルギー密度 |
重量パワー密度 |
充電時間 |
寿命 |
| リチウムイオン電池 |
3.8V |
150Wh/kg |
200W/kg |
数時間 |
800回 |
| ニッケル水素 |
1.2V |
60Wh/kg |
1000W/kg |
2時間 |
1000回 |
| 鉛蓄電池 |
1.2V |
40Wh/kg |
300W/kg |
10時間以上 |
400回 |
電気二重層式
キャパシタ |
2.5V |
5Wh/kg |
1000W/kg |
1分 |
10万回 |
リチウムイオン
キャパシタ |
3.8V |
10Wh/kg |
1000W/kg |
10分 |
10万回 |
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(*溜められる電力の大きさがエネルギー密度、*充放電の能力がパワー密度)
瞬時に大きな電力を充放電するパワー密度が高いキャパシタは、エネルギー密度が低いため、電気自動車やハイブリットカーの補助的蓄電システムとみられていたが、最近鉛電池並みのエネルギー密度のものも開発されてきて、リチウムイオン電池に対抗できる可能性も出てきた。
キャパシタの有利な点は、希少な金属を使わないため安くできる事。自動車本体の耐用年数より長い寿命があるこ事。異常高温や発火の危険がない事。瞬時に大きな電力を充放電できるため、ブレーキ時のエネルギーを回生したり、スタート時に大きなパワーが使え、充電も時間がかからない事。
2005年11月、富士重工業は、予め負極に多量のリチウムイオンを吸蔵させる独自技術「プレドーピング」により,エネルギー密度を大幅に増大させた大容量キャパシタの技術を発表した。(10Wh/kg) さらに,電気二重層キャパシタにおいて開発が進められている新材料を採用した正極と組み合わせることで、さらに大きなエネルギー密度を得ることも可能であるとも。
ここから大容量のリチウムイオンキャパシタの開発に弾みがついた。
2008年11月時点で、旭化成エレクトロニクス、太陽誘電、アドバンスト・キャパシタ・テクノロジーズ、NECトーキン、FDK、JMエナジー、日立エーアイシーなどがリチウムイオンキャパシタを開発中で、既に製品出荷を始めている企業もある。
2008年10月、日本電子とアドバンスト・キャパシタ・テクノロジーズは、正極に日本電子が開発した非多孔性で高い静電容量を持つ「ナノゲートカーボン」を採用して、高エネルギー密度(25Wh/kg)を実現したリチウムイオンキャパシタを販売すると発表した。
2009年1月、人工筋肉などの研究開発ベンチャーのイーメックス(大阪府吹田市)は、蓄電部品「リチウムイオンキャパシタ」について蓄電性能は従来の10倍に、エネルギー密度では従来の5倍の性能を実現したと発表。
リチウムイオンキャパシタは、電極に炭素を利用するのが一般的だが、イーメックスは人工筋肉の開発などで培った技術を応用した化学めっきで作られた金属電極を採用。電解質にイオン交換樹脂と有機溶剤を使った高分子リチウムイオンキャパシタで、エネルギー密度を従来のリチウムイオンキャパシタの約5倍となる100Wh/L、50Wh/kgを実現した。
パワー密度は1000W/kg。
2009年2月に発表されたホンダのハイブリットカー「インサイト」も2009年版新型プリウスも
旧プリウスも電池はリチウムイオン電池ではなく、ニッケル水素電池を採用している。
リチウムイオン電池のほうがニッケル水素電池より3倍も電圧が高く、3倍もエネルギー密度が高いのに、採用を見送っているのには理由がある。
ソニーのPC用リチウムイオン電池が発火して、1000万台のパッリーパックが回収されたとおり、リチウムイオン電池には発火の危険がぬぐいきれない。
PCに比べ大型のリチウムイオン電池で同様の事故が起きたら、リスクは計り知れない。
100%まで充電し、0%まで使い切る使い方をすると、ニッケル水素電池の二倍の価格といわれるリチウムイオン電池は2年で寿命が来てしまう。
2009年夏発売予定の三菱自動車のアイミーブはリチウムイオン電池を採用しているが、60%充電し、40%まで放電すると充電する仕組みにすることで、10年の寿命が得られるそうだ。
すると、エネルギー密度150Wh/kgの20%しか使わないことになり、30Wh/kgではニッケル水素電池のほうが経済的になってしまう。
100%充電した状態はリチウムイオン電池の劣化を早め、完全放電したまま、半年も放置すると修復不能になってしまいます。
リチウムイオン電池を使いこなすのはなかなか難しいようです。
その点を考えると、イーメックスの開発した高分子リチウムイオンキャパシタのエネルギー密度50Wh/kgは注目すべきと思います。
キャパシタですから満充電、完全放電10万回の寿命があり、発火の心配がなく、高価な材料を使わないため、量産すれば安価に供給できるとのこと。
イーメックス社の大容量金属電極キャパシタ
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2009年9月、パナソニックはノートパソコンなどデジタル家電用のリチウムイオン電池を内蔵した電気自動車(EV)向けの電池システムを開発すると発表した。
現在の電気自動車の電池はEV専用の角型電池を数十個搭載して必要な蓄電容量を得ようとするものだが、EV専用のリチウムイオン電池は量産が始まったばかりであるのに対して、ノートパソコンなどデジタル家電用のリチウムイオン電池は既に大量生産されており、かなりコストダウンされている。
そこで、デジタル家電用のリチウムイオン電池を数千個搭載することで、かなりのコストダウンになると見ている。
衝突事故時の安全性や電池を細かく制御する技術を開発することで、電池システムのコストは3分の1に出来る、すなわち現在満充電で150km走れる電池が300万円であるのに対し
100万円程度に抑えられると言う。
当文の中でも紹介したシリコンバレーのベンチャー企業テスラ社が 2008年3月から販売しているステラロードスターも日本製のパソコン用のリチウムイオン電池を数千個搭載していると言う。
2010年3月3日〜5日開催の2次電池の展示会「国際二次電池展」に、出光興産はA6判サイズのラミネートタイプの全固体リチウム(Li)イオン2次電池を出展した。電解質に固体の無機材料である硫化リチウムを使ったもので,液体の有機材料を電解質に使った通常のLiイオン2次電池と比べて,安全性,高温特性,耐過放電性,大容量化の点で優れているという。同社は,1年ほど前に名刺サイズの同種の電池を試作しているが,今回新たにその大面積化を図った。
電解質に硫化リチウムを使う利点は、
(1)無機材料であるため高温でも安定している。
(2)固体なので,液体と違って気化によって内圧が上がるようなことが起こりにくい。
(3)20Vまでは電気分解しない。
(4)正極材料に電気化学的に容量が大きなイオウ系の材料が使えるようになる。
などという。
(1)と(2)により安全性や高温特性が向上し、(3)により耐過放電性が改善され、(4)によって大容量化に有利になる。
試作したA6判サイズの同電池では,正極と負極には既存のLiイオン2次電池と同じ材料を使用しているが、正極にイオウ系の材料を、負極にLi系の材料を用いることで、「理論的には質量エネルギ密度を現状の100〜150Wh/kgから500〜700Wh/kgまで上げられるポテンシャルを持つ」という。
日立マクセルは、正極材料,負極材料,電解質の細かな組成や製造プロセスを見直すことで,エネルギ密度を上げるとともに,低温における放電特性を改善したという円筒形Liイオン2次電池を出展した。質量エネルギ密度は約185Wh/kgと概算できる。
三重県産業支援センターは,印刷プロセスだけで「シート型全固体ポリマーリチウム二次電池」を試作したと発表し、展示会「第1回国際二次電池展」に出展した。
安全で,薄くて曲がる,大面積であるなどの特徴を備えるという。
従来の全固体Liポリマー2次電池には,室温以下の低温ではほとんど動作しないという課題があったが,今回は,0〜+25℃という温度でも動作可能であるとする。
質量エネルギ密度は約80Wh/kgと概算できる。
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2010年3月、トヨタ自動車、日産自動車、三菱自動車工業、富士重工業、東京電力の5社は電気乗車用急速充電器の普及に向けた協議会を立ち上げると発表した。
会は「チャデモ協議会」と名づけられ5社が幹事会社となり、電力各社、自動車部品メーカー、充電器メーカー、自治体などの参加も募る。
充電時の制御データーを自動車と充電器でやりとりする際の通信方法の標準化や安全技術の確立を目指す。仕様を共通化し開発負担を抑え、利用者の利便性を高める。
昨年、三菱と富士重は相次いで電気自動車を法人向けに発売、今年度は日産が、来年度はトヨタが発売を計画しているが、一回の充電で走れる距離がガソリン車に比べて短いため、電気自動車の普及には充電インフラが必要不可欠であるため各国が規格策定を急いでいる。
東京電力側の積極的な呼びかけに自動車各社が応じた形となった。
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